複数の原因を複数で支える―社会的引きこもりから―

 




















複数の原因で起こる社会的引きこもりへは、できるだけ早く、
個人や家族、社会、による複数の関係を合わせ、対処します。
またこの対応方法は、
複数の原因で起こる先行きの見えない経営に応用できます。

きこもりとなってしまった方がいます。

日本は一億総中流階級と呼ばれています。

自己責任、個人が大事にされている中で、
家庭では思春期に起こる問題のひとつに「社会的引きこもり」があります。
引きこもってしまった彼らには、自己責任といって放置してよいのでしょうか。
私は対処をする必要があると思います。

この社会的引きこもりは本人だけでなく、本人を取り巻く家族や、
家族の属する社会との「関わり方、関係性」が複合的に関係しています。
さらに、一般に社会的引きこもりは精神疾患ですが、
はっきりとした原因が解りません。
認知症のような脳に外傷(外因性)はなく、
またうつ病のように薬で回復はしません。

そこで精神療法といった「投薬でない治療」がおこなれます。
相手のあるがままを受け入れる来談者中心療法や、
家族の関係力を利用した家族療法がそれです。これらを利用します。

この社会的引きこもりへの対処方法を学ぶことで、
ご家族が社会的引きこもりとなってしまっても早急に対応が可能です。
また、いまの社会問題や経営へもこの対応方法が応用できると思います。
まぜならいまの社会は原因がわからない
(社会的引きこもりの場合は病気)のに加えて、
対応が遅れれば遅れるほど悪化するという共通点があるからです。

ですからここでは社会的引きこもりの状況とその対応方法について述べます。


めの治療が必要です。

96%の医者は、社会的引きこもりにはなんらかの対応が必要としています。
必要としたもののうち、86%の医者は精神療法が有効と考えているようです。

また出来るだけ早めに治療することが望まれます。
なぜなら治療には6ヶ月から数年単位と長期戦を強いるからです。
そして放置すればするほど加速度的にレベルは悪くなります(下図)。
さらに引きこもり期間が長引くと就職などの社会的ルートが閉ざされてしまいます。

よっておよそ30歳までには精神科医に診てもらうか、
あるいは30歳以上の場合は現実を家族と向き合い
障害年金を取るなり相続を「具体的にいつまでにどうするか」考える必要があります。
図1.時間とレベルに関するグラフ



















アクションポイントで行動しないとレベルが悪くなる(破線)。

のような病気か―精神疾患―です。

社会的引きこもりは精神疾患です。
精神疾患は物理損傷が原因の外因性と、
それ以外の内因性とに分けられます。
ひきもりは内因性、とりわけ心に原因がある「心因性」に属します。

症状は活動的でない陰性症状の統合失調症に似ています。
コミュニケーションが
成立する(引きこもり)・しない(統合失調症)で分けられるようです。
また信頼感の無いことがj根本的原因の、学生無気力症にも似ています。

この社会的引きこもりを長期間放置すると、二次的な症状として、
対人恐怖症や、
何かをせねばならないといった強迫行為のあらわれることがあります(下図)。

消耗体験を通して親なりに頼らざるを得ない状況から引きこもり、
場合によっては社会的引きこもりから強迫行為や対人恐怖に発展します。
図2.社会的引きこもりによって起こること



















二次的に強迫行為と、対人恐怖症状が発生する。
強迫行為には両親に暴力をふるう場合もある。

のような方法で解決するのか

主に個人と家族、社会と関わります。

個人の気持ちと状況
動いたほうがいいとは思うがそれゆえ身動きが取れません。
時にご両親から正論を言われ、もしくは自分で正論を考えることで
「何とかしないと」と、自己嫌悪からさらに深く引きこもります。

個人の対応
雑菌のたまり場から感染症を経験し免疫が得られるように
人とのたまり場から有意義な空間を共有することで、
最終的には本人の何かしたい気持ちを育みえます。


家族の気持ちと状況
子供から離れられない気持ちから他者との関わりを拒みます。
世間体を気にして東奔西走したり、過度な対応をします。
過度な対応には子供のいうことに「甘やかす」こともあります。

家族の対応
良くも悪くもなりながら成長する人間の特性を理解し、
だらしなさを受け入れます。
引きこもっている子と挨拶を「続け」ます。挨拶から関係を構築します。
子供と悪い関係ならば、その原因を分析し下手に刺激しないようにします。

自他分離から、相手と自分の間に策を作り身体接触を避けます。
暴力が見られる場合には警察などの他者介入も有効です。
一方一人暮らしをして離れているならば
原則的には連れ戻すが良いようです。
つまり適度な距離を確保します。

また、生きる欲のひとつには金銭欲のあることも考えられるため
十分に一定、どれだけお金を与えるか話し合った上で、
守った約束を守り続けます。


社会の対応
得てして社会的引きこもりの子の居る家族は、社会から孤立しがちです。
ですから宿泊療法や家族療法、同じ悩みを共有する家族会の接触を通して
「家族から社会へ関係を作り」→「家族から本人へ関係を作る」
と言った接触手順を踏みます。
家族関係の改善が図れられるようになったら
デイケアなり、アルバイトなりを薦めてもいいかもしれません。



応方法とこの考え方が適用できると思われる応用分野

本人は勿論ですが、ご家族も十分甘えられなかったのだと思います。
ですから本人はもとより、ご家族も私は育って欲しいと思います。
また「何が原因だったんだ」、といった原因究明に時間をとる以上に、
とりあえずでも多くの人たちが多くの知恵でどう動くか決断することが必要です。


とめ

複数の原因である社会的引きこもりにおいて
以下の対応方法がわかりました。

  • 個人はをたまり場から楽しさを持てる気持ちを作る。
  • 家族は人間の特性を受け入れ、適度な距離を保ち、約束を守る。
  • 社会が家族や本人を受け入れる環境を整備する。

個人を社会人、家族を上司、社会を経営者や会社とすれば
新人育成にもいかすことができると思いますし、
個人を経営者、家族を会社、社会を社会全体と捕らえられれば
経営にもいかすことができるかもしれません。


それを以下を読んで考えました。
文献は斉藤環:社会的引きこもり PHP研究所発行 1998.12です。



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