世の中をややこしく生きるススメ

 現在は一時期の高度経済成長期の頃と違い、未来の答えがわからない世の中になっています。そうした状況の中で皆はできる限りわかりやすい、言うなれば単純明快な答えを求めているような気がします。しかし、それは万能ではありませんし、また必ずしも解決に結びつかないこともあります。だとするならば問題です。そこでここではそうした恐れや不安のあるわけのわからない未来において、現在どのような意気込みを持っていたらよいか書きたいと思います。

多くある残念な状況、残念な人たち


 現在は非常に先行き不安な毎日です。今日まで務めていた会社が明日突然倒産したり、はたまた一週間前に買った宝くじがたまたま今日当選したりするといったこともあるかもしれない、混沌とした状況にあります。このような状況の中で皆は不安に居心地の悪さを感じ、より明快でわかりやすい答えを求めています。
 例えば就職試験における資格取得が挙げられるでしょうか。本来会社が求めているものが何かわからないため藁をもつかむ思いで自分の実力を担保するために多くの資格や難関な資格をとることに必死になっている方が居ます。


単純にあることはメリットもある


 それもすべてがすべて全く悪いわけではありません。きちんとした実力がついていればまったくよいと思います。

 またわかりよければその分、答えを出した分野以外に時間を割くことができますし、わかりやすい結論があってこそ、それを積み重ねることで高度な問題も紐解き、理解し易い部分もあるでしょう。

 単純明快なものでも一つの考え方として受け入れ、それを上手に利用することが重要だと思われます。


一方で現実を見極める必要もある


 しかし簡単な答えで全ては片付きません。
 例えば、私がかつて専攻していた化学の分野でもそれはあります。具体的には気体の計算式において、理想気体と現実気体と言った考え方があり、計算上は確かに理想気体のように、わかりやすく割り切れる方が答えを出しやすいのです。しかし現実はそのようなことはなく、現実と理想とはどうしてもずれてしまう傾向にあります。(たいがいそうした「ずれ」は係数として処理します。)
 さらにそうした気体の計算式だけでなく、工場で「もの」を生産していたときにも同様なことがありました。いくら実験室スケールで実験が成功していたとしても、工場や大きな現場にスケールアップすると実験室の状況とは違い、別の新たな問題の発生してしまう、といったことがそれです。

 そこでそうしたスケールアップに関する不具合に対して状況への対処を生産技術の仕事とすることがあります。ですからこうした現実に即した課題の解決方法として単純明快な答えだけでなく泥臭い人間による調整によって現実的な対処、答えを持てることがあります。


現実を見極めるためには


 そのような現実的な答えを得るためには「今」「ある」現実世界に目を向ける必要があると思います。

 たとえば見落としがちな「現実」を「考えていない」という部分はないでしょうか。本当はそんなことはないのだけれどもそういうものだとして思い込んでいること、思考停止している部分はないかということを考える必要があるのだと思います。

 言うなれば現実的な問題として、例えば長く生きようとするならなにもしないのではなく定期的に検診を受けたり、あるいはかかりつけ医を予めみつけておくなど、いざとなった場合におけるリスクを考えておく必要があるのではないかということです。

 それを考える際今さら何を言ってもしかたがない、といった諦めはないでしょうか。確かに自分は無力だ、諦めたほうが早い、など、それも安楽な方法として一つはあると思います。しかしそれだけでなく、そうした状況への対処として欠陥がある社会を認めることは大事です。たとえば法律をどう使うかであるかだとか、あるいは法律の問題でなくとも精神医学でも森田療法では神経症の症状に対し不安や怖れを抱きながら考え続けたり行動し続ける意味で不安定な状況を受け入れて行動することが大切である気がしています。

 そもそも未来に不安のない時代はかつてはありませんでした。それに比べて現在は今日も平和だったから明日も平和であろう、などといった考え方をされている方もいて、そうした方は考え方の根本そのものが間違いである気がするのです。
 つまりいつでも誰でも不安を持って生きていく必要があると考えられ、そうしたことは普通だし解消する必要もないと考えられます。要するにややこしく生きることが重要になる気がするのです。

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