あなたの組織の採用は人を見ているか


 組織は存在していく上で新陳代謝をしています。その大切な養分として人があり、人を得るためには定期的、あるいは不定期に「採用」をしています。最近ではよく「人柄採用」を要としている組織もありますが、しかしその多くは、名目上は「人柄採用」というものの実際に人を見て採用はしていないように感じます。なぜなら、どんな人が良いか基準がしっかりしていませんし何が正解かもわからないことが多いからです。それでは何をどうしてよいかわからない意味で問題です。そこでここでは採用について何をどう見たらよいかどうしたらよいのかということを採用側として考えます。



最近の大企業の就職と就職制度


 かつての大企業では集団就職、新卒一括採用をしていました。学校を出たての若者をいっせいに就職させ会社の中で競争させて、育てていく気概がありました。正直誰でも良く、強いて新人に求めるとするならば「思い通りに動いてくれること」ではなかったかと思います。
 その相手の思い通りに動く、という意味では低学歴の方よりも高学歴の方のほうがより会社には重宝がられたのだと思います。この考え方はバブルのころまで続きました。

 しかしバブル崩壊が起こる中で多くの企業の景気が悪くなり、採用する人の数が減りました。絶対的に採る人が減ったというのもあるのですが。そのおかげでバブル崩壊前後の時期では、あまりに多くの学生が少ない採用枠を狙って戦い始めました。
 そのような社会の中で当時学生に一番人気のあったソニーの採用方法が注目されました。ソニーは昔から革新的なものを作っていたこともありそれ相応の異端者を見つけたい思惑もあったことから「自分のできること」や「何ができるか」を全面的に聞くようになったといわれています。

 日本の多くの会社はその例をみて、背景や文化を無視してでも真似するようになります。そのため現在でもその名残を受け、「なぜ当社を」、だとか「どう生かすか」などといった質問を採用面接時に投げかけるようになっています。

 このように背景や文化を無視して単純な横展開する例は現在でもあり、例として「目標管理制度」や「成果主義の導入」などがあります。これらは何でもかんでもよくなるわけではないものの、会社組織という特性上一度作るとなかなか辞められない特徴があります。そういう意味では会社も国や官僚の制度と一緒です。



就職制度の中身と言わない文化


 最近の採用の問題をよく見ると先の「何ができるか」採用に続き、多くの会社における新卒採用では「人柄採用」や「自分で考える人」が欲しいと言われます。
 しかし実際のところ、これは嘘で、どちらかというと「無能でなくとも謙虚で従順な子羊が欲しい」だけ「逆らわない奴隷が欲しいだけ」のような気がします。いってることとやっていることが違うのです。

 これは日本人特有の「本音と建前文化」に起因すると考えます。考え方として初対面の相手に嫌われるのが嫌なのかわかりませんが、真正面に言うことをいわない「他者を思いやった(本当は思っていない)」文化があります。
 確かに相手にいやな気分をもたれるかもしれない面接している段階では(採用予定者を)お客様として見ているといったことはあると思います。
 しかし変に取り繕っても余計に嫌われるだけですしだめだったらだめだったで何がだめだったか、あるいはどうすればよいか位はアドバイスが欲しいです。


言ってることとやってることをフォーカスする


 そのため理念に見合った未来の人、すなわち人という宝を発掘しようとするのならば採用行為自体を人事にまかせっきりにせず、役員や社長自ら採用活動に着手し正面から言うことをいい、ぶつかって責任を持ったほうが良いかもしれないと考えます。

 人と人との伝達はあいまいだという結論を持つものとして有名なもので伝言ゲームがありますが、社長→役員→採用係長→採用係員と人を通ずることによって理念に対する思いも弱まり、もしくは伝達されなくなってしまいます。
 また、人の採用フィルターが何重にもかかることによって最初は異端で優秀だと思われた人でもだんだん落とされていき、最終的には面白みのないつまらない人間を採用してしまいかねません。

 組織を守り最終的には朽ち果てることが目的なら金太郎飴のような同じような人間を採用するのは良いかもしれませんが、そうでないのなら多種多様な人間を採用するほうが組織発展を目的とするならば良い気がします。

 また自分が会社の人事部で人を採用するならば十分役員や社長などとどんな人を採用したいのか、十分基準や正解を詰めておく必要があります。その上で自分個人の価値観ではなく、会社がどうなったら最大利益を持てるかといった価値観で業務に当たる必要があるかもしれません。


採用方法の変更


 またもうひとつの対処方法として採用方法を「人」から「職種」へ変更する方法があります。

 これまでの多くの採用現場では人を見て採用しています。しかし採用面接では嘘を言うこともあるためその人の傾向や特徴を捉えるのにかなりの時間を要します。 それではやはりどうしても時間がかかります。

 それに比べて人ではなく職種採用をすることであり方が変わってくる気がするのです。

コメント

このブログの人気の投稿

精神保健福祉士の実習 指導者が必要なもの5 細かい考え、コメント

理系と文系とにおける論文作成方法の違い

恋と愛との違い、愛への昇華方法