接客業の明日はジリ貧だ
多くの仕事の中で興味深い職業に接客業があります。これは営業などとは違ったお仕事です。そこでここでは接客業と営業とでどこがどのように違うかを示し、特に私が勤めていたビジネスホテルについて説明し接客業を続けていってジリ貧にならないためにどのような考えを持ったらよいかを書きます。
根本的な考え:パイの大きさ<パイの分配率
接客業の場合は多くのお客様に「来店していただくこと」が大事です。営業と違ってお客様に商品について「売り」をアピールしたりはしません。ですので接客業では営業と違って商品自体で断られることはありません。
接客業では来店していただくことを重要視していて再来率や満足度を重要視します。当然最大売り上げ額(パイ)は決まってきます。ですので営業と違って利益のパイを大きくよりもパイの利益割合を大きくすることに着目します。(業界にしても、ホテルの売り上げにしても)
ホテルという接客業の価値
私が最近までいたのはビジネスホテルでした。仕事はそこでのフロントでしたが、これは典型的な接客業です。同業他社には他のビジネスホテルはもちろん帝国ホテルやシティホテルなどがあります。
それら帝国やシティなどのホテルはビジネスホテルに比べ高級なホテルですが、これらの宿泊施設の場合、場所代やアメニティグッズなどの他に一泊あたり大きな額が多く使われています。ですからそれに付随してお客様をもてなす心や、ホスピタリティとか言うのを前面に出して「満足させてもらえるホテル」を目指す必要もありだと思います。
しかしビジネスホテルはそれらのホテルと違います。値段の割りにすぐ泊まれるため確かに駅前にあったりすることはありますが、高級ホテルの接客方法とはまた求められているものも違う、と考えています。(少なくとも私は)高級路線に走ることはベターだとは思いません。
例えば都心でもお客さんの入りの少ない日でしたら一泊4000円代で泊れるところは十分あり、そうした安いホテルでは従業員の給料も大抵が少なくホスピタリティーを求めるほどのものではないと思うからです。あってもよいとは思いますが、なくてもいいと思います。
そもそもそうしたホテルのフロントの仕事内容も基本的には「お金を受け取って領収書とお釣りを返し、鍵を渡すだけ」ですから高い価値をもらえるだけの仕事をしているとも思えません。
パイの利益割合を増やすことに腐心するとジリ貧になる
そして利益の少ない割りに、競合他社が出てきます。ここでひろゆきが言っている事と同じなんですが、決まった売り上げのパイのある割合に腐心してると、新しい会社ができた途端に利益率はどんどん落ちます。これが多くのビジネスホテル業界でも起こります。
すると知らず知らずの間に自分たちの利益が下がる。加えてうちらの利益が落ちたのは他社のせいだ、他社に負けないためうちらは設備を増強させたり、接客を高級路線に帰ればお客さんは戻ってくるはずだ、といらぬ勘違いをしてしまいます。
もちろんこれらのことをすることで戻ってくるお客さんもいるにはいるとは思いますが、多くは期待できないのではないでしょうか。少なくとも私の場合は 場所と値段だけで選びます。そしてそうした本音を決してお客さんは言わないと思います。
だとするならば高級路線に走ろうとしたり無理に設備の増強したりするよりは、自社のどこに魅力があるのか、であるとか、ほかの店との違いを徹底的に追及する必要があると思います。
たとえば何か売りになるものをひとつだけ備え、それ以外は敢えて過剰な接客をしない店なんてものがあっても正直私は良いと思います。
確かに噂が広がるなら効果は大きいが
ところで最近はホテルに予約をする場合、電話よりもネットを使うことが多くなっています。多くが「じゃらん」や「楽天」、「るるぶ」などですが、これらのサイトではお客さんがさらにお客さんを呼ぶように「口コミ」の表示がなされていることが多いです。
これが結構厄介者だと私は思っていて、今まで可視化されていなかったお客さんの評価が目に見えるようになってしまったことで顧客満足度や人気度に利益率が影響している、と勘違いさせてしまう傾向にあります。本当にそんなことはあるんでしょうか。仮にあったとしても、それで一喜一憂していては乱暴もののクラスのボスにお伺いを立ててる「人気取り」と同じような立ち居地になり正直、かっこ悪いと思います。
また良心のある方ばかりならば良いですが、悪意のある方が評判することによって悪評が広められたらどうなるでしょう。ホテルの評判は地に落ちます。また多くのホテルがそうしたお客の書いた感想をもとに評価の対象としていますが、えてしてお客さんは嘘をつくこともあります。少なくとも私はお客さんの立場としてホテル側が喜ぶように書いたら何かしら見返りがあるかもしれないと感じて、多少悪いことがあっても目をつぶっていいように書くでしょう。とすると、お客さんの意見は本当に信用できるのか疑問です。
ですからお客さんの意見に左右されすぎるのは問題です。もちろんいい評価になったらいいにはいいけども、基本的に相手の方法や顔色を伺うだけ、あれこれ考えるだけ無駄だと思っています。
ひょっとしてこれらサービス業は暇なのか
どうも複数働いたり面接を受けてくるといくつかのビジネスホテルでは上記のような口コミであったり、あまり効果があるのかわからないような接客技術を完璧にこなそうというところがあります。そのようなところを真剣になっているのを考えるにひょっとすると接客業は営業と違って相当暇なのではないかと考えています。
あまりに暇であるがゆえに接客方法にこだわったり客の感情に振り回されることにプライドを持つ人も出てくるのかと思っています。それでもいいと思われる方もいらっしゃるのかもしれませんが正直、そのような借り物の自分の事にこだわりすぎて、目の前にいるお客さんの状況を把握し切れていないとなると残念なことなのかなと考えています。
ですからそうした誤解を防いだり発展し続けるためには接客業の常識と思われる根本的な思い込みを考え直す必要があるのかもしれない。そうした考え方の転換を図る必要があると考えています。
ひとつに既存客の確保はもちろんのこと、それだけでなく新たな顧客となりうる人を取り込む方法を見出すことが大切かもしれません。例えばお客さんを待っているだけではなく、道のお客さんを自ら取り込むだけの方法を持っても良いのかも知れません、そのためには繁華街にある居酒屋がよくやっているように、泥酔してしまったお客さんをホテルに呼び込むといった方法、ビラ配りをしても良いかもしれません。
もちろんそのような挑戦をせず、公務員のように現状維持が大事でそれ以上は望んでいない、給料アップもいらないというのならば現状の発展性のない接客業をしていてもいいと思います。しかしそれがいつまでもそのような状況は続かないと私は思います。
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