事実を見る アトピービジネスから




















 原因や方法がわからない場合、責任を取ってくれそうな人や組織を探し出し、それの指示やいっていることに従って判断や行動をします。過去のアトピー性皮膚炎への治療でもその傾向があり、メディアにのせられ科学的根拠の無い民間療法が隆盛しました。これはひとえに事実を見誤ったからだと思います。ご紹介する件から、真実を見る目の大切さがわかっていただけると幸いです。


からないことへの対処の実例

 わからないことが多いです、わからないことが多すぎます。しかし、だからといってわからないことを自分で確かめもせず、素直に信じてしまうとどうなるのでしょうか。ここでは一時期大きな問題となった「アトピー性皮膚炎」への治療をとりあげ、どうなったのか、みようと思います。


究途上での医療の混乱

 アトピー性皮膚炎とはアレルギーと似ていて、ただれやかさぶたを伴うものです。これが起こる原因は二つあります。1)遺伝要因と2)環境要因です。心の治療が不可欠になることもあり、長期間治療が必要な場合があります。

 これは一般的にステロイドを用いることで克服可能です。ステロイドは50年以上の使用実績があり、症状をコントロールできます。全身投与のされてきたこともありますが、現在では局所投与のものも開発されています。
 ステロイドでアトピーの悪化のすることは実際にも理論的にも無く、その部位によって強さを変え、症状がほとんど出ないでおさまるそうです。誤った方法を取らなければ副作用は起こりません。なお、誤って使用した場合には

  • 血管が浮き出て赤ら顔になること。
  • とびひやにきび、たむしなどの感染症になりえます。

また小児では90パーセントが中学校程度で消失、即ち自然治癒もしえます。

 なお、日本ではステロイドは薬局で買えます。ですが使用方法などを考えると皮膚科医の居るお医者さんで使用量、方法などを習ったほうが良いようです。欧米では医者の処方箋がないと買うことが出来ません。

 以前は原因も対処もわからなかったことから、治療において混乱がありました。原因や対処がわからなかった意味では統合失調症と似た部分があると思います。なお、統合失調症をはじめとした原因がわからない精神疾患は対処法が確立されるまで国でさえも私宅監置をしていましたが・・・。


代の流れ

 1970年代は皮膚科医が中心となりステロイドの使い分けが出来、副作用も誤用のみだったそうです。

 1980年代では小児科医がアトピーはアレルギーだ、と認識しステロイドを使わない治療方法を考えます。皮膚科医と小児科医の処置にかかる意見の食い違いがありました。

 1990年代になると、メディア・マスコミがたきつけます。民間療法も出現し、ネットでの批判もありました。民間療法が隆盛した理由は、症状の原因や明確な対処がわからず患者も多く、マスコミが炊きつけ易く、死ぬことが少なかったからです。
 また民間療法だけでなく別の科のものも参入して、レーザーなどの特殊療法を行ったものもいます。
 よって皮膚科医と小児科医、民間業者、他科の人らともやりあう形になり、てんやわんやになりました。
そして民間療法や特殊療法により症状が悪化した患者さんは大勢でました。ただ、このなかでも全てが悪かったというわけでなく、科学的根拠はありませんが環境要因への対処としての民間療法は一部有効なものもあったようです。


んやわんやした原因

 てんやわんやしてしまった原因は、治療するものの問題、そしてメディアのたきつけであると考えられます。

分けますと、治療するものの問題は
 ①民間業者や一部お医者さんが科学的証明をなしえなかった、ということで権威を使って騙したり、統計的な数値を用いなかったことがあります。カウンセリングと称し、患者を診ないこともあったそうです。
 ②一部インフォームドコンセントが出来なかった、ということで本来はいい面と悪い面を言うべきものが、いい面ばかりを強調してしまった。

マスメディアの問題は
 ①嘘を書いたり事実を誇張する。難治療な病気としてあらわし、マイノリティをマジョリティのように報道しました。副作用が出たからといって禁止にする、といった極端な飛躍を持つことがありました。
 ②情報が間違っても責任を取らない。間違った情報を出しても隅に小さく書くだけです。基本的に記事に責任を持っている方は少ないと思います。



これらが親御さんたちの身体的・金銭的負担をかければかけるほど治るはずという信仰、病気と思いたくないし、民間療法でも何とかすがろうとすること、病気そのものやステロイドの悪影響さを知らなかったことに起因し、時間が経つにつれ、どんどん話が大きくなっていったのだと思います。


題解決の手段

 現在他の医療の場の多くで言われていることだと思いますが①セカンドオピニオンの確保をすること②事実を知ることが重要だと思います。情報を使う場合にも用心しないと、問題になるということです。


近考れている問題。

 近年似非科学ということが言われています。マイナスイオンとか地球温暖化だとかいうあれです。これも恐らく無知から来る問題なのだと思います。自分で納得した形で知り、良い情報は良いように使いたいものです。

それをこの文献を読んで考えました。

竹原和彦 アトピービジネス 文藝春秋出版 2000.6です。

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