理学と工学の違い
理学的考え方と工学的な間が方の違いを知ることは重要 |
理学と工学は似ているようで違います。それを見極められないと、研究室配属などで間違った選択をしかねません。間違った選択をてしまった場合には、せっかくのばすことのできる能力をみすみすつぶしてしまう意味で問題です。そこでここでは理学と工学の考え方の違いを書きたいと思います。なお、私は過去に高専で工学、大学で理学の先生にそれぞれつきました。ですのでそれぞれの考え方がある程度わかると踏んで書いています。
理学と工学の違いはなかなかわからない
私が高専から大学に編入するときに、どの学部に編入するか考えたことがあります。特に理学部と工学部はどちらも同じような学科がありますし、どこがどう違うのか当時はわからず、また、それを教えてくれる人も周りには居ませんでした。
通常数学や理科ができればそれら工学なり理学なりの分野へ進むことはあります。しかしだからといって明確に違いを見出しているケースはあるのでしょうか。
通常高専5年生なり大学4年生なりになると研究室に配属されます。すると実際にどのような研究をするのか体験し、各研究室間での違いを確認できます。その違いはもちろんボスの性格によるところも大きいですが、ボスの出身学部も多少なりとも影響を及ぼしていると思われました。
ちなみに私は高専では工学部出身の先生につき、大学では理学部出身の先生につきました。それら高専と大学とで違う学部出身の先生について学べたことは、知見を広げる上ですごく良かったと思っています。
ですのでそれらの出身学部の先生の違いでわかったことをお伝えして、少しでも多くの方が自分に合った学部の選択をしていただければなと思っています。それらの違いを以下に記しました。
理学は何をする
理学は知的好奇心が根底にあり、「なぜ?」から真理を追究する学問分野だと思っています。当たり前が当たり前でないことを考えます。ですから研究をしたからと言って場合によっては現実的な問題が解決するとは限りません。(もちろん解決の原因を考え、対策を練るところもあろうと思いますが。)また真実を見出すことは難しい一方で、現象を明らかにできたときにはいくらでも応用が可能となります。そうした真実に基づいた理論を構築するためには、多くのデータや実験結果が必要とされるために、どうしても膨大な時間と労力を必要することがあります。さらに場合によってはこれまで「当たり前」とされてきた理論に真っ向から戦って自ら理論を打ち出す姿勢を示さなくてはなりません。そうした意味では他人に異を唱え続ける意味で、非常に忍耐の要る学問だと思います。
工学を何をする
工学はそれまで確立されてきた理学などの当たり前の知識を使って、目の前にある問題を「どうやって?」解決するかを考える学問分野なのだと思います。非常に見えやすくわかりやすいです。真実をどうという部分はもちろんありますが、それ以上に現場をどのように解釈するかに視点を置いています。ですから一般的に言われているデータや法則などを使って現実にあわせて問題解決を図ります。
各学部にいる他学部出身の人を知ることは重要
私のいた高専(工学部系列)では5年になると卒研発表会がありました。その卒研発表会では自分たちが「方法を考案してどうやってよくするか」を発表し合っていました。それに比べ、そこに所属していた理学部の先生やそうした先生についている学生の発表を見ていると常々「そんなこと研究して意味あるの?」と思っていました。しかし工学の基礎となる部分は、知的好奇心から考えられる理学の分野の研究が底にある事が多いです。
私が高専にいるときの理学出身の先生に対しては上記の「そんな研究して意味あるの?」と思ったいたことから、「よくわからないことを研究している人」というイメージでした。しかしもしかしたらその専門としている部分の話をした場合、その研究に対する熱に関しては工学の先生以上にお持ちになっていることがあったのかもしれません。
ですので特に工学部にいる理学出身の先生に対しては、もしくは理学部に所属している工学の先生にもそれはいえるかもしれませんが、そうした別学部出身の方の専門分野としている部分のお話を根気強く聞くことによって、今まで感じていたものとはまた違った熱を感じられるかもしれないだろうなと思います。
そしてそうした新たな方面に伸びる熱、いうなれば知的な視野を多方面に持てることは重要だと思っています。なぜならそれを認識することで研究に行き詰まりを感じた場合に、新たな発想を持ちえ、打開策が見出せるかもしれないと考えるからです。
就職先に関する違い
理学を専門としている人は軸がしっかりしていることが多いです。ですからそれを応用させる意味で所属している専門分野はもちろん、 知的に応用させる意味でほかの分野でも生かすことができます。例えば理学の数学科の方が統計を利用して金融会社にかれることがあります。
一方工学を専門としている人はその専門分野を使う場面に関して、現実的な問題に対処される意味で現場で重宝されることがあります。 例えば工学の化学科の方が生産のバッチプロセスを新たな薬品を使って改良したりします。
理学は精神分析に似ていて工学は行動療法に似ている
理学、工学ともにそれぞれの分野によって長短があります。ですからどちらが良い悪いとは言えません。
ですが、真理を追究しようと考えているのに方法を考える必要な研究室に居たり逆に方法を考えたいのに真理を追究する研究室に入るとお互いにとって不幸になりえます。ですから事前に良く見極める必要があるのだと思います。
その上で要約しますと
実際に現在起こっている現象を根源的に解明したりその大元となる部分を理解しようとするならば理学。
取り急ぎ問題解決を手段で解決する場合には工学が利用されます。
これはどこか「心の問題解決」を図る場合に用いられる、原因を追求する精神分析的な考え方と取り急ぎの解決を図る行動療法的な考え方と似ているような気がします。
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