精神保健福祉士の実習 指導者が必要なもの1



















 私も持っている精神保健福祉士を取得するには試験に通る必要があります。毎年7000人以上の方が受け、そのなかでも4000人以上の方が合格している比較的合格率の高い国家資格です。これは社会福祉士を取るついでに取ることができ、人気です。その精神保健福祉士の資格取得をするには事前に実習をする必要があります。
 実習では施設が養成校に在籍している学生さんを何日間か預かり現場を知るだけでなく、自己洞察をする機会とします。実習生がブログなどを書いている例は見かけますが実習指導者が指導者として必要なことを書いている例は少ないです。ですからこれを書き残すことは重要だと考えています。
 そこで今回ここでは精神保健福祉士の実習を行うにあたり、施設側や指導者側が実習生を受け持つときに必要なことを書きたいと思います。
 なお日本精神保健福祉士協会では、毎年実習指導者のために講習会を開催していますが、今回はその講習会でのエッセンスを抜き出し、役立てられそうなことを考え、5回に分けて私なりにまとめてみました。


はじめに実習で行われること


実習生を受け入れる場合、施設側や指導者側は
  1. 実習生を受け持つためのプログラムを作り、
  2. それを実習生の持ってきた計画とすり合わせ、
  3. 実務を通して実習生とのスーパービジョンをします。
3.のスーパービジョンは、養成校の教員と実習生とが行うそれとは異なります。


実習生を受け入れる前に考える普段の支援


 はじめに実習では現場というフィールドワーク、野外科学的な側面を持つことを知ることが重要です。とすると、これは普段の仕事の中における利用者さんを「支援すること」がそのまま活かされると考えられます。

 例えば近年精神疾患の症例として増大している認知症の方も、何を言っているのか不明だからといって闇雲に支援することがあるかもしれません。そのような場合、わけのわからないことを言っているからそのままですますのではなく、
  1. 病気を受け入れる。
  2. 目的を持って支援する。
必要があると思います。そのために施設は一丸となって違う職種の方々とも方向性を合わせ、時には癒着協力もしながら計画をたてる必要があります。

 この考えをそのまま生かすとするなら、何者かわからない実習生の方を何を言っているか不明だからといって闇雲に支援するのではなく、①実習生の特性を受け入れて②目的を持って支援することが大事なのだと思われます。



実習生を受け持つ責任と目的


 実習生を受け持つに当たり、その方の責任は誰が持つのかと考えることがあります。公式的にそれは養成校側、施設側のどちらが持つのかは不明確です。ですが私は実習は実習生自身が責任や自覚を持つ必要があると考えています。
 なぜなら本来実習における施設側の目的は後進者の育成としていて、①優しく懇切丁寧に教えるだけでなく②実習生自身で支援の形をつかみとって欲しい、そうした「新人教育のようなプレ指導」であるとも私は考えているからです。
 人間はそれぞれ違いますから、場合によってはどんなに努力しても向いていない方というのはいます。 そうした方に対して非常に酷ですが「向いていない」と指導する必要もあると考えています。

 また実習の実習生側の目的は気持ちや出来事の振り返りと、未分化な状況における言語化の支援をすることであると私は考えています。ですからそれを適切に支援することが施設側の役割なのではないかと考えています。
 すなわち施設指導者が専門職として実習生の支援をすることが大事だと思われます。その専門職としての基準は病院や作業所など施設により変わりますので、指導者自身が事前に専門性を明確に考えておく、理解しておく必要があります。

 教育の現場では人は教えてもらって学ぶこと以上に教えることで自らを振り返って勉強になるということがあります。ですので施設側の実習担当となる方は実習生を受け持つことによって、自分自身の勉強の場や振り返りから学べる場となればよいのではないかと考えます。


精神保健福祉士の到達点


 ともかく精神保健福祉士の最終的な到着地点は、精神疾患を患っている方が地域生活中心の生活へ巣立ってもらうことだと私は考えています。そうなしえる人間に実習生になってもらう必要があります。

 どうしても実習生と聞くと資格のために養成校や大学に行き、学校側から言われたから実習に来ていると考えがちです(私はそう思っていました)。しかし本番の実習を通して現場を体感してもらうだけでなく、精神保健福祉士としてのよさを身に着けたり、人の成長を見守ることのやりがいのようなものを育めたらよいのかなと思っています。

 つまりそうした精神保健福祉士としての熱意のようなものが施設や指導者側が持つ必要があると思うのです。そのための手段として次からの方法を使ってみてはいかがかと思っています。


次回はそうした指導方法、スーパービジョンについて少し詳しく書きます。

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