精神保健福祉士の実習 指導者が必要なもの4 広い見方
実習は現場のエッセンスを抜き出して一般解を求める発想力が必要となります。それを実習生と支えるのが指導者としての役割です。また現状実習は実習生、施設側両方に負担が発生していますが、事後教育を現場に活かすことで負担が軽減し、より実習を受け入れやすい土壌ができるかもしれません。
国や協会の考え
改めて指導者講習の全体を通して見てみますと、どうも流れとして病院に働くPSWを増やそう、重きをおこうといった考え方がメインで、地域移行に関しての項目は少なめとなりがちになっています。"本来は地域移行の考え方が一番大切なはずなのに!!!!”
これは講習を国や厚生労働省、協会が後援しているからかはわかりませんが、基本的に理想論、画一的で箱物的な考えをしすぎることがある用に感じます。これはどこか歴史の流れや背景ではなく年号を覚えることをよしとしていたり実習というものを学校教育のための「体験」であると考えがちなような気がします。
しかし私はそうした国や協会の考え方とは違い、本来実習とは実務の「守破離」を学ぶ実践の場だと考えています。上記の学校の体験的なものとは異なる実務の延長線上な「場」であると考えています。”演習ではなく実務なんだと思って欲しい。”
ですから実習生に対しては何のために実習しに来ているのか、何を得ようとしているのかといったことを、実習生が来られた時には一度考え、時には直接問うようにしています。そして施設側として協力できる所があれば協力します。
本当の実習とは
実習とは実習の目的のページや実習のマネジメントのページの繰り返しになりますが、野外科学の考え方が中心にあります。野外科学とは特殊な現実を元に一般的な理論を形成する事です。それをするには自ら学ぶ姿勢、課題を自ら取る積極性が必要だと考えています。
ですから事実をわかりやすく簡潔にまとめることが難しかったり、誰かに言われないと何もできないようですと実習の時は例え卒なかったとしても、実際に精神保健福祉士になってからよい仕事をするのは難しいと思います。
とすると、そもそもなんのために実習に来ているのかさえも考えたこともない人は、残念ながら実習する意味さえない気がします。
ソーシャルワークには経営者や管理者的視点が必要
そもそmのPSWは「責任を持って仕事の汚いドブさらいをする」といった意味で、作業員としてではなく経営者・管理者として影で支える視点を持つことが大事です。
そのためにはPSWの役割や専門性として末端の実務から知る必要があり、実務を知って(必ずしもできなくとも良い)且つ臨機応変な対応ができる力も必要になることがあると私は思っています。
あくまで自分の経験した中で言えることをいい、①治療のためと②相手のためとで役割によって行動が異なることを認識する必要があります。
私は実習生と新人、実務経験あるPSWとの間で話す内容は基本的に違いはないと思っていますが、いずれの場合においても、人数と時期、資源の限りのあることを知ることは絶対必要です。
実習を体験とする考えには反対
時に実習は養成校の教育の中に含まれる「体験」的な部分があり、ざっくり知れればそれで良いといった考えも一部あるのかもしれません。しかし実習を単なる一体験で終わらせていいのか、実習生のために普段ではない特別の場面を設定して意味があるのかと言った疑問を私は持っています。
そこで私は実習というものを企業で言うところのインターンシップと同じように、仕事の延長線として、実習生の適性を見極めてもらう部分でもあると考え、それを啓蒙してゆきたいと考えています。
とすると精神保健福祉士の実務が野外科学だとして実習生も職員同様、野外科学を実践する者として考えた場合に、指導者は、実習生が得た野外科学のプロセスを確認をすることが求められます。実習生をお客さんとして扱うことも時として必要なのかもしれませんが、それ以上に実習内容や実習生の行動に対する根回しをする必要性もあると考えられます。{指導者は実習生が作ったPLAN,DO,CHECK,ACTIONのサイクル(通称PDCAサイクル)における(C)チェックの部分を責任をもって担う。}
施設側の態度も変わると良い
他方、今後実習をより良く建設的なものとするには、そのスタイルも変えていく必要があるのかも知れません。
現状実習は職員の時間を無理やり割いておこなっていて、実習生はもちろん施設側も時間的負担を強いられる部分があります。また実習後は報告会というものもある場合もありますが、その内容が施設側に伝達されているのか疑問です。
せっかく職員の時間を割いて実習生を受け入れたとしても、その成果の事後教育・事後報告が現場に活かされないのなら施設側にとっても実習は無意味だと考えます。"回収効果の期待できない設備投資はしても無駄ということ”
ですから逆に実習後の報告が施設の実務に生きるようならば実習の意味が別の視点で見え、施設側がより実習生を受け入れやすくなると思います。そのためには実習の形だけを充実させるのでなく、実習そのもの、時には実習報告を現場風味に仕上げることも必要です。指導員としてはそうした視点も必要なのだろうと考えます。
実習生の作成した現場風味のある実習報告を使うことで今後組織の改善を図ることができるのならば、その費用に対する効果も組織へ容易に説明することができるのかもしれません。こうしたことは組織に働きかけるPSWの役割となります。
次回はもう少し指導者としての姿勢や気持ち、各論について書いてゆきたいと思います。
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