探偵と福祉とによる情報取り扱いの違い
大衆はゴシップや興味本位なことが大好きです。これは相手の知れうる情報を自分だけが知ることで、悦にひたっているところがあるからなのかもしれません。こうした相手の情報を知ることは、福祉をはじめとした支援者にもあります。しかし支援者の場合と大衆ゴシップ誌などの場合とでは情報の取り扱い方法が違います。その違いを知ることは重要です。そこでここでは①ゴシップ誌をはじめ情報を得る『探偵』と②支援者として情報を得る『福祉(従事者)』とでどのように情報の取り扱いが違うのかを書きました。
違いは、知るか使うか
探偵と福祉とにおける情報の違いは「知る」か「使うか」です。具体的に書きますと、支援するための福祉の行動には「知ってからのもう一歩の踏み込み」が大事となります。
どちらの場合でも情報を知る意味では本質的にはしていることは変わりません。しかしもう一押し、あと一歩を踏み込めるか踏み込めないかで、場合よっては相手の反応が正反対に変わることがあるのです。
探偵と福祉の特徴と共通点
以前私は探偵になりたいと思っていたことがあり、実際に面接を受けに会社まで行ったことがあります。その際、所長さんにお話を聞かせていただいたのですが、そのときの話を要約しますと探偵という職はあくまで情報を知る、得ることを目的としているそうです。つまりあくまで依頼者の意図のみに従って調査対象者の情報を勝手に根掘り葉掘り得ます。時には違法なこともすることもあるそうです。
一方、対するものとして福祉では、得た情報をどのように役立てられるか、即ちどう使うか、ということを目的としています。福祉の場合は探偵の場合と違って調査依頼者と調査対象者が同一な場合も多く福祉では調査依頼者であり調査対象者であるお客さんの意図に沿って、一緒に対応策を考えてお客さんのためにどうするかを選択します。
人間には誰しも他人に踏み入れられたくない環境や、生い立ちを持っていて、そこで人知れず悩んでいるものです。そうした知られたくないような情報に踏み込む点では探偵でも福祉でも共通している部分ではあります。
これは他から見ると些細なことかもしれませんが情報を提供する側からすると大きな違いです。
情報に対する責任
そしてもっとも大きな違いは情報の責任の負い方にあります。
探偵も確かに依頼者の要請した情報を得ることには責任は持つとは思いますが、基本的に調査対象者の生き方や情報自体には責任を持たないと思います。
ですから最悪調査対象者を傷つけてしまうことがあります。それに対して福祉の場合は調査対象者の生き方と情報に責任を持たなくてはならないことが多いです。
こうした福祉における責任を持つということは言い換えると相手の変わる可能性を信じるということになります。確かに責任を負う場合には失敗するリスクもありますが、失敗することにこだわっていては変わること・成長することは出来ません。ですから失敗するリスクを十分に考慮しながら、変えられる可能性を持って行動し、待つことで、相手の成長を促す、といった部分が福祉にとって探偵とは違った特異な部分なのだと思います。
ですから福祉従事者には探偵のような、知るだけの存在になっていただきたくは無いと思います。
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